2024/9/22【 関東大学対抗戦A 】vs青山学院大学 マッチレポート
関東大学対抗戦A 対青山学院大学戦
9月22日(日)・森エンジニアリング桐生スタジアム
○帝京大学40-5青山学院大学●
《BRIEF REVIEW》
対抗戦第2戦は青山学院大学との戦い。この試合も前節に引き続き、対抗戦初出場メンバーが少なくないが、緊張感をはねのけ、普段の力を全力で発揮したい。
開始早々は、反則から自陣深くまで攻め込まれる展開。だが、全員でしっかりとタックルに行き、FL福田大和のジャッカルでピンチを防ぐ。
ここから帝京が攻め込む。自陣からモールを押し込み、敵陣に入り、相手の反則を誘発。敵陣深くでのラインアウトを得る。7分、ラインアウトから連続攻撃。ラックから、SH上村-LO本橋-SO大町-WTB森と渡り、森が前進。ゴール前でつかまるが、SH上村が持ち出してトライ(7-0)。
その後は一進一退。反則などで攻め込まれる場面もあるが、キックの蹴り合いからミスや反則が起こるなど、お互いに決め手を欠く。帝京はキックを多用するが、うまく味方にボールが入らず、チャンスを作れない。
試合が動いたのは30分。ラインアウトからモールを押し込む。前進しているモールに相手が横から入り、反則がなければトライだったと認定されて、帝京のペナルティトライとなる(14-0)。
相手にシンビンが出て帝京に有利な状況となるが、ミスもあり、攻め切れない。38分には、逆にスクラムからつながれてトライを許してしまう。前半を14-5で折り返した。
後半は開始直後から、帝京が押し込む展開。5分、ゴール前でのチャンスにミスで相手ボールのスクラムとなるが、これを帝京が押し込む。こぼれたボールをFLグアイニが拾ってそのままトライ(21-5)。
11分、FB神田のカウンターアタック、Fl青木の前進などでチャンスを作ると、左へ展開。ここではミスが起こり、取り切れないが、またもゴール前での相手ボールスクラムを帝京が押し込む。こぼれたボールをPR森山が押さえてトライ(26-5)。
19分にはマイボールのスクラムでアドバンテージをもらいながら展開。CTB生田が前進。ゴール前でつかまるが、ラックから、SH上村-FL青木-FB神田と渡り、神田がトライ(33-5)。
24分、ゴール前でのラインアウトからモールを押し込む。HO當眞が持ち出してトライ(40-5)。
残り15分、ここからさらにギアを上げていきたい帝京だったが、ミスが出るなど、なかなか決定機まで持ち込めない時間帯が続く。リザーブ組も入り、チームに活力を与えたいところだったが、一進一退の流れを自分たちに引き寄せるところまではいかない。ゴール前まで攻め込む場面もあるが、ミスが続き、取り切れない。
最後も攻め込みながらも取り切れずにノーサイド。40-5で帝京が対抗戦第2戦に勝利した。
《COLUMN》
―― 全員が同じ絵を見る ――
青木恵斗キャプテンはよく「全員が同じ絵を見られるように」という表現をします。昨年度の江良颯キャプテンも同じような表現をよく使っていましたし、思い起こせば歴代のキャプテンはみな、その表現は微妙に違えども(「同じ絵を描けるように」など)、似た言葉を使ってチームの理想(目標)を語っていました。
「全員が同じ絵を見る」とは、ラグビーの試合の局面局面での判断が、全員、阿吽の呼吸で同じになる状態を指す言葉です。同じ絵を見ているので、「こういう局面ならこういうプレー」という判断を、瞬時に全員が同じようにできるということです。
ここで大事なのは「『多くの人が』同じ絵を見る」ではなく「『全員が』同じ絵を見る」という点です。一人でも別の絵を見ていては、同じ絵を見ていることにはならないのです。
例えば、「この状況ではボールをつないで前進する」という絵をチームの大半が見ている状況で、一人だけ「この状況ならキックだ」という絵を見ていて、実際にキックをしたら、「ボールをつないで前進」という絵を見ていた大半のプレーヤーは、味方のキックに対する動き、対処が遅れてしまう、あるいはどう動くべきかわからなくなって混乱してしまうことでしょう。
これではどんなにいいキックを蹴ることができたとしても、けっしてチャンスにはなりません。
この日の試合を見る限り、まだまだ「『全員が』同じ絵を見る」状態にはなっていないようでした。もちろん、昨年度のチームでも、シーズンの終盤が近づいても言っていた言葉ですから、簡単に完成するものではありません。
簡単ではないからこそ、常に意識し続け、そこに近づいていかなければなりません。次の試合、あるいはその次の試合で、いきなり『全員が』同じ絵を見るようにはならないでしょう。ですが、一試合ごとにその見ている絵の間違い探しをし、少しずつ同じ絵にしていくことが大切です。
「今日の試合はどこまで同じ絵になってきているだろうか」。そんな視点でゲームを見てみると、これまでとは違った学生たちの成長ぶりが見えてくるかもしれません。
(文/木村俊太)