2025/8/20【 SUMMER TRAINING GAME 】vs天理大学 マッチレポート
8月20日(水)・アンダーアーマー菅平サニアパーク メイン
○帝京大学57-43天理大学●
(40分×3本)
1本目 帝京大学 5-12天理大学
2本目 帝京大学 38-7天理大学
3本目 帝京大学14-24天理大学
《BRIEF REVIEW》
菅平での練習試合。この日の対戦相手は天理大学。学生たちの疲労度等を考慮し、40分×3本の形で行われた。また帝京は事前に、先発メンバーは1本目の20分までと決め、後発組もプレー時間を定めた上で行われた。
1本目、20分という時間で結果を出したいという気持ちは強く出ていたが、逆にそれが硬さにつながったのか、外側での勝負ではタッチに出され、ゴール前でのラインアウトからのモール攻撃でも得点を取り切れない。
逆に11分、キックカウンターからつながれトライを奪われてしまう(0-5)。
その後も帝京は何度もチャンスを作るが、取り切れない。20分が経過し、ウォーターブレイクとなったところで、先発組は全員交替。後発第一組とメンバー総入れ替えとなった。
ここからは一進一退。お互い、チャンスの場面で取り切れない展開となる。
24分、帝京はSO上田(倭楓)の50:22でチャンスを作る。ラインアウトからモールを押し込んでから連続攻撃。ラックから、SH金(太)-LO山口(竜)-FL染谷と渡り、染谷がトライ(5-5)。
その後もチャンスを作りながらも取り切れない帝京。42分、ラインアウトからつながれ、トライを奪われてしまう。1本目は5-12でブレイクタイムとなった。
ブレイクタイムで気持ちの部分を指摘された帝京は、2本目の入りからその気持ちの部分を前面に出していく。キックオフキャッチした相手に対し、LO山口(竜)が好タックルを見せ、ターンオーバー。これをつないで、最後はFLイリエサが開始1分でトライを決める(10-12)。
1本目とは異なり、鋭い出足を見せる帝京。しっかりと守る、スチールも決める。5分にはラインアウトからの連続攻撃でFLイリエサが、9分にはCTB佐藤(楓)がトライを決める(24-12)。
攻められる場面もあるが、LO山口(竜)のスチールで防ぐ。14分にラインアウトから走られトライを奪われるが(24-19)、その後は帝京の時間帯となる。攻められる場面でも、ディフェンスでプレッシャーをかけ続ける。
22分、WTB下川のハイパントキャッチから連続攻撃。CTB佐藤(楓)が大きく前進。さらにつないで、FL染谷がトライ(31-19)。ここで後発第2組にメンバー交替。
30分、相手ボールのラインアウトを奪って連続攻撃からトライ。38分にはラインアウトからモールを押し込み、PR松原がトライ。このあと、ターンオーバーからWTB神田(陸)の50:22でチャンスを作るが、ラインアウトでボールを奪われる。大きく走られ、逆にピンチになるが、ここはWTB新澤の好タックルで防ぎ、43-19で2本目までを終えた。
3本目、開始直後は帝京が攻める。3分、乱れたボールを奪って連続攻撃からトライを奪う(50-19)。
だが、ここから帝京は突然、失速。いい守備を見せながらも、ミスが増え始める。8分、14分ともにスクラムから、17分にはターンオーバーされたあとのクイックスローインからと、立て続けにトライを奪われてしまう(50-36)。
その後、帝京が攻め込む時間帯もあるが、あと一歩のところでトライまでには届かず、ミスから地域を戻されてしまう。26分にはラインアウトから攻められトライを許す(50-43)。
この時間が少なくなる中、帝京が攻め込む時間帯が増えてくる。41分、ラインアウトからモールを押し込んでトライ。さらに帝京が攻めるも、ミスが出て、ここでノーサイド。40分×3本の戦いは、57-43で帝京が勝利した。
《COLUMN》
―― 無意識に巣くう油断 ――
意識と無意識の話は、このコラムで何度も取り上げてきました。ですが、この日の試合を見る限り、何度も取り上げるべき話題であることがよくわかりましたので、あえて書いておこうと思います。
この日の試合は、学生たちにとっていろいろな意味で難しかったと思います。40分×3本の結果は、合計得点で57-43。数字的には帝京の勝利ですが、最後までどうなるかわからない展開でした。
大町キャプテンのコメントにもあるように、学生たちはけっして油断したつもりはありませんでした。むしろ「強いモチベーションで挑んだ早稲田大学戦に勝利した直後の試合なので、その試合以上に気持ちを入れて臨もう」と確認し合っていました。
しかし、岩出雅之顧問の言葉を借りれば「意識ではやってやろうと思っていても、本能的な危機感を感じていなかった」ということだったのでしょう。接点での強度が明らかに足りていませんでした。本能というのはまさに無意識の領域です。無意識の中に、意識では見えない油断が紛れ込んでいたのでしょう。
1本目が終わった休憩時間にこのことを指摘されると、2本目での学生たちの動きに大きな変化が生まれました。気持ちの部分がまったく足りないとわかった彼らは、もう一度、マインドセットをやり直し、今度は強い気持ちで相手に当たるマインドでグラウンドに出ていきました。
すると1本目がウソのように、接点での強度が増しました。いいタックルが決まるようになり、攻撃でも前に出られるようになったのです。
意識の上ではけっして油断などしていなかったにもかかわらず、無意識の中にそれがこっそり潜り込んでいた。それに気付いたことで、プレーのパフォーマンスも変わりました。今後は自分たちでこの気付きを得られるかどうかが重要になってきます。
無意識を意識的に操ることは簡単ではありませんが、学生たちにとっては克服すべき必須課題だと言えそうです。
(文/木村俊太・写真/志賀由佳)









