先端総合研究機構
学術的な研究の成果を社会と
結び付けて共創社会を実現させる
先端総合研究機構(先端総研)は、本学の持つ研究シーズとニーズの価値を高めるとともに、その知見に基づき、社会の発展に貢献し以って本学の研究力を高めることを目的としています。
今の世の中にはさまざまな社会問題、社会的課題が山積しています。その解決のためにいろいろな取り組みが行われていますが、これら課題の解決のために取り得る方策や手段は決してひとつではありません。言わば正解がひとつではない課題の解決が求められているわけですが、このような課題に立ち向かうには、学問領域を越えた連携協力、すなわち、さまざまな専門性を持った者同士が積極的に協力していくことが必要であり、社会的課題に対してはとりわけ、文理融合型の研究体制の構築が肝要です。
帝京大学は、5つのキャンパスに人文・社会系、自然科学系の広範な10学部11研究科を擁する総合大学であり、学内だけでもこのような連携体制を作り上げることができますし、他大学や企業の方々との連携体制を構築し、協働して課題解決に取り組むこともできます。
このような認識のもと、大学では研究交流シンポジウムを開催し、学内におけるキャンパスや学部を越えた連携関係の構築を応援してきました。今では、さまざまな新しい共同研究の芽が出始めているところです。
学内の連携研究は各キャンパスを拠点として自由に展開されていきます。これをさらに加速すべく、さまざまな連携研究実践の場として、また産業界との共同研究やオープンイノベーションの場としての活用のため、板橋地区に新たに先端総合研究機構棟を建設しました。さまざまな新しい学問分野への挑戦が行えるよう、研究棟の内部はオープンラボ仕様を基本とした設計となっています。
文理融合型の研究により社会的課題の解決をめざすという研究のスタイルをわれわれは『先端』と捉え、2021年4月創設の先端総研において、さまざまな課題にチャレンジしていきます。
ヒューマニティーズ研究部門 Division of Humanities
個々の研究の健全な展開に不可欠な価値・倫理・思想といった普遍的価値観を部門横断的に提供することを目的とする部門。自然科学系の価値観にのみ立脚して推進される傾向のある他部門に新たな視点を提供する。
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特任教授 羽入 佐和子
教授 後藤 玲子
AI活用部門 Division of Artificial Intelligence
これからの社会を先取りし、AIとの共存を所与の件とする構想力や考え方を部門横断的に提供することを目的とする部門。個別の研究において、AI活用という新たな視点を提供する。
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特任教授 甘利 俊一
教授 城戸 隆
健康科学研究部門 Division of Health Science
「医科学からの発展」、「スポーツと健康」、「食と栄養」などをテーマとし、長寿社会において最も期待される健康(心身ともに健やかで活気に満ちた状態)の維持・増進や健康状態への回復などに取り組む部門。
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教授 月田 早智子
教授 岡本 康司
教授 柴田 茂
准教授 森川 真大
危機管理研究部門 Division of Risk Management
「医療危機管理」、「社会生活と安全・安心」などをテーマとし、安全・安心な社会や生活環境の創出を目的として、様々な危機からの回避や安全な社会システム作りに取り組む部門。
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主任教授 森村 尚登
複雑系認知研究部門 Division of Complex System and Cognitive Sciences
「生体情報と機能」、「分子間相互作用」、「流体・ゆらぎ」などをテーマとし、モノの相互作用が作り出す複雑さを研究対象とする複雑系科学と、複雑系の代表例とも言えるヒトの認知機能の解明に取り組む部門。
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特任教授 浅島 誠
教授 岡ノ谷 一夫
オープンイノベーション部門 Division of Open Innovation
「エネルギー問題対応」、「フォトニクスの応用」、「情報技術の応用」などをテーマとし、学外との積極的な連携により本学が有する研究シーズの社会実装を目指したり、新しいイノベーションを起こす可能性を広く学内に求めたりすることを通じ、本学が関与するイノベーション・エコシステムの構築を目指す部門。
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特任教授 横堀 壽光
教授 植田 利久
特任教授 光石 衛
特任准教授 山下 紘正
次世代教育研究部門 Division of Next-generation Education
認知科学、教育心理学、教育工学などの知見と手法を活かして、これからの社会が求める資質(問題発見・解決能力など)を備えた人材の育成を目指し、様々な実践的教育のあり方を探る部門。
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特任教授 市川 伸一
社会連携部門 Division of Liaison Initiative
本学の有する「知」を社会に繋げていくため、「ベンチャー育成」、「連携促進」などの幅広い観点から、産学連携プロジェクトの発掘や知財の利活用などの各種支援業務を行うとともに、分野横断型の研究、エビデンスに基づく産学連携を進めるための実証的な研究を行う部門。
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特任教授 中西 穂高
教授 田沼 唯士
特任教授 中西 穂高Hodaka Nakanishi
テレワーク、地域活性化、産学連携
東京工業大学大学院
イノベーションマネジメント研究科イノベーション専攻
大学では地質学を専攻。東京大学理学部地学科地質学専攻卒。その後、地域活性化に関心を持ち、米国ペンシルベニア大学大学院で都市計画学を専攻。Master of City Planning。さらに東京工業大学大学院イノベーションマネジメント研究科でテレワークとアウトソーシングの活用による新たな地域活性化手法を研究。博士(学術)
近年はコロナ禍における人流抑制や働き方改革の手段としてテレワークが注目を浴びています。今日の社会の変化に対応したテレワークの研究をしています。
地域活性化の研究では、地域の経済指標が良くなるだけでなく、地域の人々が元気になるための研究をしています。
特許等の知的財産の活用や共同研究の推進、研究データの利活用などを通じて大学の「知」を社会に役立てていくのが産学連携です。産学連携を中心とする社会連携の研究を進めています。
・日本テレワーク学会副会長
・大学技術移転協議会理事
・大都市政策研究機構理事
教授 田沼 唯士Tadashi Tanuma
機械工学分野 数値流体力学の製品設計及び医学応用研究 設計法の研究
東北大学大学院工学研究科
機械工学専攻博士前期課程修了
1980年から東芝にて発電用タービンの開発設計に携わる。火力・原子力・地熱発電用蒸気タービン、水素燃焼ガスタービン等のタービン翼流体設計に従事。並行して、数値流体力学のタービン設計への応用、モデルタービン試験装置を用いた開発タービンの性能計測などを行い、タービン翼の3次元翼設計法の開発を進めた。1995年に数値流体力学のタービン設計への適用研究で東北大学の博士号(工学)を取得。以降、開発設計の業務と並行して工学院大学、東京都立大学、横浜国立大学にて流体機械、機械CAD及び設計、高速流体力学、エネルギー機械システム設計の講義を担当。2010年4月に帝京大学ジョイントプログラムセンター教授に就任、2013年から2016年まで文部科学省研究振興局技術参与を兼務してスパコン「京」とポスト「京」(富岳)を活用したコンピュータシミュレーション技術の産業利用推進事業に協力。2017年4月より帝京大学戦略的イノベーション研究センター教授、2021年4月より帝京大学先端総合研究機構教授に就任して現在に至る。帝京大学大学院理工学研究科及び理工学部機械・精密システム工学科教授を兼担して、総合機械工学(学部3年)、CAD演習・製図(学部2年)、空気力学(大学院修士1年)の講義を担当。
専門は機械工学、特に流体力学と関連力学分野を基盤とする設計に関する分野。再生可能エネルギー利用発電用原動機等を中心としたエネルギーシステムの研究、流体力学の医学・歯学分野への応用研究、持続可能な産業振興のための設計教育の研究に従事。
・Unsteady Aerodynamics and Aeroelasticity of Turbomachines, Edited by Y.Tanida and M. Namba, Elsevier Science B.V., 1995(共著)
・ カラー表現による可視化技術、フジテクノシステム、1996(谷田好通 監修 ISBN4-938555-54-9、共著、「流れの光学的可視化法」を執筆)
・ Advances in Steam Turbines for Modern Power Plants, Woodhead publishing series in energy, Elsevier, 2017.(編著)
・Tanuma, T., Okuda, H., Hashimoto, G., Shibukawa, N., Okuno, K., Tsukuda, T. and Ogawa, M., 2018, “Unsteady Flow Effects on Steam Turbine Last Stage Blades at Very Low Load Operating Condition,” Proceedings of ASME Turbo Expo 2018, GT2018-76498.(共著)
・ Suzuki M, Tanuma T (2020) The effect of nasal and oral breathing on airway collapsibility in patients with obstructive sleep apnea: Computational fluid dynamics analyses. PLoS ONE 15(4): e0231262. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0231262(共著)
・Yamagata K, Shinozuka K, Ogisawa S, Himejima A, Azaki H, Nishikubo S, Takako Sato, Masaaki Suzuki, Tadashi Tanuma and Morio Tonogi, (2021) A preoperative predictive study of advantages of airway changes after maxillomandibular advancement surgery using computational fluid dynamics analysis. PLoS ONE 16(8): e0255973. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0255973(共著)
・日本機械学会フェロー
・日本ガスタービン学会会長(2015年)
・日本ターボ機械協会副会長(2012年、2013年)
・International Electrotechnical Commission IEC/TC5 Steam turbines 日本委員会副委員長
・International Organization for Standardization ISO/TC192 Gas turbines 国内審議委員会委員
・Editor in chief, the International Journal of Fluid Machinery and Systems
・Organizer and session chair, the steam turbine sessions of ASME Turbo Expo Turbomachinery technical conferences
特任教授 市川 伸一Shin'ichi Ichikawa
認知心理学、教育心理学
東京大学大学院人文科学研究科
心理学専攻論文博士
1953年生まれ。天文学を志すも思いを果たせず、大学入学後、実験心理学に転向。東京大学文学部心理学科卒業。文学博士。認知心理学の基礎研究を経て、その後の研究テーマは、認知理論を基盤にした学習支援や授業設計。2001年より、中央教育審議会教育課程部会委員として学習指導要領の改訂に関わる。
30代までの基礎研究は、視覚的記憶能力の測定、視覚的パターンの複雑性認知、確率的推論におけるバイアスなど。その後、教科学習に悩みをもつ児童生徒への学習相談室を大学に開設し、「認知カウンセリング」という実践的研究活動を始めた。その知見や経験から、算数・数学の学力診断テスト COMPASS の開発、学習方法の改善を図るための「学習法講座」の実施、教授と活動のバランスに配慮しつつ意味理解やメタ認知を促す授業設計論としての「教えて考えさせる授業(OKJ)」の研修などの活動を最近は行っている。
・『考えることの科学―推論の認知心理学へ
の招待』(中公新書, 1997)
・『確率の理解を探る―3囚人問題とその周
辺』(共立出版, 1998)
・『開かれた学びへの出発―21世紀の学校
の役割』(金子書房, 1998)
・『学ぶ意欲の心理学』(PHP新書, 2001)
・『学力低下論争』(ちくま新書, 2002)
・『学ぶ意欲とスキルを育てる―いま求めら
れる学力向上策』(小学館, 2004)
・『「教えて考えさせる授業」を創る』
(図書文化, 2008)
・『勉強法の科学―心理学から学習を探る』
(岩波書店, 2013)
・『教えて考えさせる算数・数学』(図書文化, 2015)
・『教育心理学の実践ベース・アプローチ』
(編著、東京大学出版会, 2019)等。
特任教授 横堀 壽光Toshimitsu Yokobori
材料強度学、メゾスケール力学、臨床力学
東北大学大学院 工学研究科
機械工学第2専攻博士課程修了
航空機ジェットエンジンや高効率発電機器(高温強度学)、燃料電池車(水素脆化)などの構造安全性と寿命予測に関わる基礎理論構築とその実用を目指して、独自に開発した実験手法と数値解析手法を用いて、時間依存型破壊に関わるメゾスケール力学を構築している。(メゾスケール力学とは、ナノスケールからメータスケールの実構造までをつなぐ力学として定義している。)
また、心臓血管外科領域に関する研究として、カオス理論に基づいた動脈瘤および心筋梗塞の非侵襲診断理論と診断装置の開発や 整形外科領域に関わる研究として骨形成理論および骨構造力学解析を行っている。
・Biomaterials’ Mechanical Properties, ASTMSTP 1137,Co-Editor of H.Kambic and A.T.Yokobori,Jr., 1994年.
・材料強度と破壊学―創造的発展と応用―(1999年)(執筆担当部分)第6章第14節、第15節、第7章第2~6節、第8章第2~4節、笹氣出版印刷(株)(日本学術振興会先端材料強度第129委員会編)
・Advances in Fracture Research Proceeding of ICF10, Honolulu 2001, Organized by Elsevier Science,Editors: K.Ravi-Chandar, B.L.
Karihaloo, R.O.Ritchie, A.T.Yokobori,Jr., and T.Yokobori.
1987年~1993年
Chairman of ASTM.F4.04.10 Section on Mechanical Test Method on Cardiovascular Implants and Materials
2001年~現在
Secretary General of International Congress on Fracture
2010年~現在
Editor in Chief of International Journal of Bio-Medical Materials and Engineering
教授 植田 利久Toshihisa Ueda
オープンイノベーション分野、エネルギー環境分野、反応系の熱流体力学
慶應義塾大学工学研究科
機械工学専攻博士課程
わたしが大学2年生のとき、オイルショックを経験しました。そのときから、われわれの生活にはエネルギーは大変重要な課題であると思うようになりました。そして、1982年に乱流燃焼の研究で博士学位を取得し、その後、燃焼現象などを中心に、エネルギー関連の研究を行ってきました。また、自動車の排気ガスの問題、気候変動の問題など、エネルギーに関連した環境問題にも関心を寄せられるようになってきました。このような問題は、さまざまな要因が関連した複雑な問題ですが、その解決のためには、それぞれの基礎学理をしっかりと確立することが重要であると考えています。21世紀に入り、非線形力学が急速に体系化され、反応系の熱流体力学分野においても、これまで理解することができなかった現象が、少しずつですが説明できるようになってきているように感じています。そのような成果が、エネルギー・環境問題の解決にすこしでも貢献することができれば、大変うれしく思います。
特任教授 光石 衛Mamoru Mitsuishi
ロボティクス、生産工学
東京大学 大学院工学系研究科機械工学専攻博士課程修了
ロボット手術が役立つ場面は、狭小空間での手術、微細手術、正確な手術、遠隔手術である。スーパーマイクロサージェリ、手術におけるプロセスイノベーション、遠隔手術、診断と治療の一体化と自動化などをテーマに、具体的には深部脳神経外科手術支援システム、眼科手術支援システム、小児外科手術支援システム、人工関節置換術支援システム、内臓系手術支援システムなどを構築している。これらのシステムを実現するにあたって、生産工学の知識とデジタル技術を活用している。例えば、人工膝関節置換術における骨切除の際に骨にダメージを与えず、また、骨が壊死しないような温度で切除するための切除方法の検討を行っている。また、AIを導入し、精度や操作性を向上するとともに、医師の判断の支援機能も導入する一方で、医師の最終判断機能を維持するなど、AI組み込みの適切なあり方についての検討も行っている。
2007年(平成19年)3月2日 砥粒加工学会 論文賞
2007年(平成19年)5月11日 日本機械学会 ロボティクス・メカトロニクス部門学術業績賞
2014年(平成26年)2月21日 日本機械学会 生産加工・工作機械部門部門功績賞
2016年(平成28年)10月22日 日本機械学会 生産加工・工作機械部門研究業績賞
2019年(令和元年)11月23日 日本コンピュータ外科学会 論文賞(医学賞)
[1] Mamoru Mitsuishi, Jian Cao, Paulo Bártolo, Dirk Friedrich, Albert J. Shih, Kamlakar Rajurkar, Naohiko Sugita, Kanako Harada, "Biomanufacturing", CIRP Annals - Manufacturing Technology, vol.62, no.2, pp.585-606, 2013.
[2] Mamoru Mitsuishi, Akio Morita, Naohiko Sugita, Shigeo Sora, Ryo Mochizuki, Keiji Tanimoto, Young Min Baek, Hiroki Takahashi, Kanako Harada, "Master-slave robotic platform and its feasibility study for micro-neurosurgery", International Journal of Medical Robotics and Computer Assisted Surgery, vol.9, no.2, pp.180-189, 2013.
[3] Paulo Bartolo, Jean Pierre Kruth, Jorge Silva, Gideon Levy, Ajay Malshe, Kamlakar Rajurkar, Mamoru Mitsuishi, Joaquim Ciurana, Ming Leu, "Biomedical production of implants by additive electro-chemical and physical processes", CIRP Annals - Manufacturing Technology, vol.61, no.2, pp.635-655, 2012. (227 citations)
[4] G. Pritschow, Y. Altintas, F. Jovane, Y. Koren, M. Mitsuishi, S. Takata, H. Van Brussel, M. Weck, K. Yamazaki, "Open controller architecture - Past, present and future", CIRP Annals - Manufacturing Technology, vol.50, no.2, pp.463-470, 2001.
生産工学に関する国際アカデミー(CIRP)(2019年(令和元年)8月24日~2021年(令和3年)8月29日 会長)
アジアコンピュータ外科学会(JACAS)(2019年(平成31年)1月1日~2020年(令和2年)12月31日 会長)
日本コンピュータ外科学会(2019年(令和元年)11月23日~2021年(令和3年)11月22日 理事長)
特任教授 浅島 誠Makoto Asashima
発生生物学、動物科学
東京大学大学院理学系研究科
動物学専攻博士課程修了
卵から親への形作りの発生の仕組みに取り組み、15年かけて形作りのセンターとなる中胚葉誘導物質としてアクチビンタンパク質を同定する。カエルやイモリ胚の未分化細胞から、筋肉や脊索、心臓、腎臓、膵臓、眼球等20余りの器官(臓器)や組織を試験管内で作る。その後、マウスのES細胞(胚性幹細胞)からも膵臓や繊毛なども作る。
動物の形作りや器官形成の仕組みを分子(遺伝子を含む)の言葉で理解する研究を進めている。
・日本動物学会賞
・ジーボルト賞
・東レ科学技術賞
・上原賞
・恩賜賞・日本学士院賞
・紫綬褒章
・瑞宝重光章
・文化功労者
・『発生とその仕組み』 1983年
・『新しい発生生物学 生命の神秘が集約された
「発生」の驚異』 2003年
・『ブルーバックス、「生命システムをどう
理解するか」』 2007年
・『動物の発生と分化』 2011年
・『生物の「安定と不安定」』(NHK)2016年
・日本動物学会長
・日本発生生物学会長
・国際ゼノパス学会大会長
・国際生物学オリンピック大会長
・日本国際賞審査委員長 など歴任
・文化功労者
教授 岡ノ谷 一夫Kazuo Okanoya
生物心理学分野、神経生理学分野
メリーランド大学大学院心理学研究科
生物心理学専攻博士課程修了
生物心理学博士
慶応義塾大学文学部心理学専攻を卒業し、米国メリーランド大学心理学研究科で生物心理学の学位を取得しました。ヒトを含む動物の心、意識について知りたいと思っています。鳥類の聴覚と発声の研究から、ジュウシマツのさえずりは理論言語学の有限状態文法で記述できることを発見しました。それをきっかけに、言語の生物学的起源の研究へと展開し、理化学研究所ではハダカデバネズミ、デグーなどの哺乳類の聴覚と発声、ヒトの音楽の生成と知覚から言語の起源を探る研究を推進しました。ERATO岡ノ谷情動情報プロジェクトを組織し、生理心理計測値から情動状態を推測する研究を開拓しました。東京大学に異動してからは、言語の起源を知るための大規模研究として、新学術領域研究「共創言語進化」を率いています。帝京大学では、ラット、鳥類、ヒトを対象に、音声コミュニケーションを手がかりとして意識の起源を探る研究を推進しています。趣味はリュートなど撥弦楽器の演奏です。
助教 近藤 晶子Akiko Kondow
発生生物学
東京大学大学院工学系研究科
助教 高田 剛志Takeshi Takata
AI活用;VR、MRの応用;医学物理
帝京大学大学院医療技術学研究科診療放射線学専攻博士課程
講師 戸田 裕子Yuko Toda
産学連携学, 公衆衛生学
帝京大学大学院公衆衛生学研究科公衆衛生学専攻専門職学位課程
助教 木澤 利英子Rieko Kizawa
教育心理学・英語教育
東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得満期退学
教授 月田 早智子Sachiko Tsukita
分子細胞生物学、個体機能学、上皮バリア学
東京大学大学院医学系研究科
第一基礎医学専攻博士課程修了 医学博士
「視て、考えて、科学する」。これが私の研究哲学であり、原点です。細胞接着や細胞運動の細胞生物学から研究を始め、タイトジャンクション(TJ)研究に集中するようになりました。TJ接着分子であるクローディンファミリーの同定を進めながら、ミクロには分子構造、マクロには個体機能解析まで、幅広いTJ研究を展開しています。近年は「体を作って守る上皮バリアのTJとクローディン」をメインテーマとして、関連分子の構造や、クローディン種が生体部位特異的に発現することで生じる上皮細胞間バリアの多様性、そして、TJと上皮細胞アピカル膜の連携原理について解析しています。これらを基盤に、上皮バリアが、時々刻々変化する生体機能を構築・制御する原理、およびその異常で生じる病態の解明など「上皮バリア学」へと展開。病気の対策・予防や健康維持方策などの研究に役立つ「上皮バリア操作法の開拓」を目指す研究も推進しているところです。
教授 岡本 康司Kouji Okamoto
okamoto.kouji.dm@teikyo-u.ac.jp
分子腫瘍学
東京大学大学院
医学系研究科生化学専攻博士課程修了
多くのがんでなぜ抗がん剤等の内科療法が効かないのかについて、国立がん研究センターで研究を続けてきました。最近の分子標的治療やがん免疫療法のおかげで、がん治療法に格段の進歩が見られますが、依然多くのがんは治療抵抗性を示します。がん細胞はその生存増殖のために周囲の細胞と精緻なネットワークを構成していますが、そのような細胞ネットワークの理解ががん治療抵抗性のメカニズムを明らかにするために重要と考え、研究を続けています。そのために、シングルセル解析や組織レベルのオミクス解析などの新たな方法論を用いて、治療抵抗性を1細胞レベルで明らかにし、「治療抵抗性ニッチ領域」を可視化する事を目指しています。これらの方法論は、がんだけでなく様々な難治性疾患の理解や治療法構築にも有用であり、臨床の先生方と共同で研究を進めていきたいと考えています。
教授 柴田 茂Shigeru Shibata
腎臓内科学分野、高血圧学分野、生活習慣病
東京大学大学院医学系研究科
内科学専攻博士課程修了
大学卒業後、臨床研修や大学院、Yale大学留学等を経て、2014年に帝京大学に入職致しました。
環境の変化に柔軟に適応するからだの仕組みや、食生活習慣と健康との関連には、腎臓の働きが深く関わっています。私達の研究室では、食と健康の関係や、生活習慣病の病態を分子レベルで明らかにすべく、腎臓の働きに着目して研究しています。
また、慢性腎臓病 (chronic kidney disease; CKD) の患者さんは日本全国で1300万人にも上ると推計されており、20歳以上の成人の8人に1人の割合で認められます。これだけ頻度の高い疾患にもかかわらず、治療法は十分に確立されているとは言えません。CKDの原因や、CKDに合併する病態の解明を通じて、新たな予防法・治療法の確立を目指す研究も行っております。
准教授 森川 真大Masato Morikawa
実験病理学、病態医化学、腫瘍生物学
東京大学 大学院医学系研究科 病因・病理学専攻 博士課程修了
大学院博士課程入学時から基礎研究の世界に入り、留学中も含めてトランスフォーミング増殖因子(TGF-β)ファミリーに関する研究に取り組んできました。TGF-βファミリー分子は発生や細胞の分化で重要な役割を果たしますが、心血管系異常、骨形成異常、腫瘍形成などの多様な病態に関与することも知られています。これまで、TGF-βファミリーの異常が関係する病態の中で、肺高血圧症などの血管病や、肺がん・乳がんの悪性化の分子機構に関する研究を行ってきました。最近では、TGF-βファミリーの一つであるミオスタチンを標的にした新規ミオスタチン阻害薬を報告しましたが、骨格筋萎縮・筋力低下に対する治療薬として有望と考えています。
帝京大学では、これまで行ってきた基礎研究の成果を基盤に、病態の解明や治療法の開発・改良に貢献する研究を進めていきます。特に、加齢に伴う骨格筋萎縮・筋力低下という高齢化社会が抱える課題に取り組みたいと考えています。
助教 鈴木 浩也Koya Suzuki
腫瘍免疫学
大阪大学大学院医学系研究科
助教 白土 玄Gen Shiratsuchi
細胞生物学
東京大学大学院 理学系研究科 生物科学専攻 博士課程 満期退学
特任准教授 山下 紘正Hiromasa Yamashita
医療工学分野 超高解像度映像 内視鏡・顕微鏡手術システム 手術ロボット・マニピュレータ
東京大学大学院情報理工学系研究科
知能機械情報学専攻 博士課程修了
1978年生まれ。ヒューマノイドロボットの開発を求めて大学入学後、ロボコンを経験するも、外科手術用のロボットに惹かれ、そのまま東京大学大学院情報理工学系研究科の博士課程を修了。博士(情報理工学)。国立病院の研究所で8K超解像度映像技術に出会い、8Kの医療応用へ。大学での研究を経てベンチャー企業を起ち上げ、医療用8K内視鏡システムの製品化を達成。M&Aによりエア・ウォーターグループに加わり、関連製品の開発を行いながら、他分野への応用を推進中。
東京大学大学院情報理工学系研究科では、内視鏡外科手術用マニピュレーターの実用化を目指して、独自の機構を考案・設計・試作・評価に取り組んだ。博士課程修了後は国立成育医療研究センター、東京大学にて、科研費や経済産業省、厚生労働省、NEDO等のプロジェクトに参画し、様々な研究機関・企業との共同研究にて、子宮内胎児診断・治療を目的とした手術用デバイスや内視鏡、超音波ナビゲーション技術などの開発に従事した。2013年より8K映像技術の内視鏡応用を開始し、AMED研究開発事業に取り組みながら、2017年には8K内視鏡システムの製品化を果たした。現在は8K医療機器の開発経験を活かし、他分野へも広く応用可能なネットワーク対応の8Kカメラシステムの研究開発を推進している。また、ノイズのない高速通信デバイスとして期待されているプラスチック光ファイバーと8K等映像技術を組み合わせた応用研究も開始している。
第1回日本看護理工学会学術集会 優秀講演賞(2013)
ライフサポート学会論文賞(2010)
第24回ライフサポート学会大会 バリアフリーシステム開発財団奨励賞(2008)
日本コンピュータ外科学会 05年度 CAS Young Investigator Award 日立メディコ賞Gold賞
日本コンピュータ外科学会誌 2005年度論文賞(工学賞)
日本コンピュータ外科学会
ライフサポート学会
日本生体医工学会
日本看護理工学会(評議員)
小切開・鏡視外科学会(評議員)
講師 尾関 郷Go Ozeki
材料強度学(高温強度、水素脆化)
東北大学大学院工学研究科ナノメカニクス専攻
博士課程後期3年の課程 修了
助手 小川 道夫Michio Ogawa
計算科学
博士課程前期
助教 小林 夢子Yumeko Kobayashi
発生生物学・分子生物学
東京大学大学院 理学系研究科 生物科学専攻
講師 柳原 真Shin Yanagihara
脳科学 神経科学 神経生理学
名古屋大学大学院生命農学研究科 生物機構・機能科学専攻 博士課程修了
主任教授 森村 尚登Naoto Morimura
救急医学分野、災害医学分野
横浜市立大学医学部
1986年横浜市立大学医学部卒業。突発不測の事態に当意即妙、臨機応変な対応が求められる救急医療に魅せられて救急科医に。その業務は危機管理そのものである。救急医療は全診療科、地域全体で対応する「面」の体制が必要であり、救急医療体制に係る課題についての研究に取り組んできた。他者支援の不作為に着目して課題を抽出し、これまで多部門・多機関間が共有する『緊急度』の概念整理と普及、地域救急医療体制の質評価指標、災害時やマスギャザリングイベント時の危機管理体制地域ごとのリスクリソース均衡度調査などを研究テーマとしてきた。
・『プロジェクト 作為・不作為へ
ハンセン病・薬害問題』
本の泉社
2007年5月[分担執筆]
・『いのちを救う災害時医療』
河出書房新社2019年12月[単著]
日本救急医学会理事、日本臨床救急医学会副代表理事、日本災害医学会理事、2020 年東京オリンピック・パラリンピックに係る救急・災害医療体制を検討する学術連合体合同委員会委員長、英国大事故災害時医療対応プログラム(MIMMS)日本委員会代表理事、日本救急診療研究機構代表理事、東京都医師会救急委員会委員・同救急相談センター運用部会部会長、東京都新型コロナウイルス感染症医療体制戦略ボード構成員、東京消防庁救急相談センター運営協議会委員、総務省消防庁救急安心センター事業(#7119)普及促進アドバイザー
助教 北又 学Manabu Kitamata
細胞生物学
東京大学大学院 理学系研究科 生物化学専攻 単位取得退学
助教 柏原 宏香Hiroka Kashihara
細胞生物学
大阪大学医学系研究科修了
講師 大畑 広和Hirokazu Ohata
分子腫瘍学
東京大学大学院新領域創成科学研究科 情報生命科学専攻 博士課程修了
助教 Day Timothy FrancisTimothy Francis Day
Cell Biology
Georgetown University, Washington, DC, USA, Ph.D in Biochemistry, Cell and Molecular Biology
特任教授 甘利 俊一Shunichi Amari
数理工学分野、理論脳科学分野
東京大学大学院数物系研究科
応用物理学専攻博士課程修了
数理工学全般を専攻、回路網のトポロジー解析、物質空間の非リーマン幾何などを考究。特に神経回路網の数理理論を創始し、多層人工神経回路網の確率勾配降下学習法をはじめて提案、これが今日の深層学習の基礎になっている。この他、神経場の力学、連想記憶、独立成分解析などがある。一方では、情報の基礎理論である情報幾何学を提唱、この分野の創始者となる。趣味は囲碁
・IEEE Piore賞
・同ニューラルネットワークパイオニア賞
・INNS Gabor賞
・2012年文化功労者
・2019年文化勲章
その他多くの賞を受章
・電子情報通信学会会長
・国際神経回路学会会長
・応用数理学会
そのほか多数の学会で活躍
教授 城戸 隆Takashi Kido
人工知能、遺伝子解析
慶應義塾大学大学院理工学研究科
計算機科学専攻博士課程修了
1996年慶應義塾大学大学院理工学研究科計算機科学専攻にて遺伝的アルゴリズムを用いたハイブリッド探索に関する研究で博士号取得。1997年からNTT情報通信研究所知的エージェントグループ、1998~2001年マレーシアのマルチメディアスーパーコリドー計画のもとで海外拠点立上げのために赴任。2002~2006年遺伝子解析のベンチャー企業であるHuBit Genomix社にて疾患関連解析の研究開発に従事。2006年~2009年、スタンフォード大学 Genetics departmentにて客員研究員。2017-2020年、Preferred Networks社にて、AIを用いたがん診断に関わる研究開発。2020年より帝京大学教授。先端総合研究機構にて、Wellbeing AIに関わる研究、およびデータサイエンス教育に従事。
・人工知能と遺伝子解析を用いたパーソナルゲノム
情報環境の提案と評価
(JST さきがけ「情報環境と人」領域)
・解釈可能な医用人工知能技術
(Interpretable AI for wellbeing)
・認知バイアスの理解に基づく個別化
データサイエンス教育の提案
(AI時代のフェイクニュース研究)
・AIと人:人類の未来と幸福
・Takashi Kido, Kazuo Takagi and Masakazu Nakanishi, Analysis and Comparisons of Genetic Algorithm, Simulated Annealing, TABU Search, and evolutionary combination algorithm, International Journal of Informatica, vol.18, No. 4, pp.399-410, 1994
・Takashi Kido, Minae Kawashima, Seiji Nishino, Melanie Swan, Naoyuki Kamatani, and Atul J Butte, Systematic evaluation of personal genome services for Japanese individuals, Journal of Human Genetics, 2013, Nov, 58(11), pp. 734-41.
・城戸 隆, ゲノムが語る自分探し
-僕はどんなふうに生きるのだろうか,「単行本」,
星の環会, 2011
・人工知能学会、日本人類遺伝学会会員
・JST未来社会創造事業
「個人に最適化された社会の実現」領域 評価委員
・AAAI Spring Symposium 2022, How Fair is Fair? Achieving Wellbeing AI, 主催
特任教授 羽入 佐和子Sawako Hanyu
哲学、ヤスパース哲学を中心とする実存思想
お茶の水女子大学大学院人間文化研究科
比較文化学専攻博士課程修了
社会状況が変化する中で、人間の存在は哲学的観点からはどのように把握し解釈することが可能か、特に情報化社会において個としての人間存在とは何か、また哲学的思考の特性は何か、を研究課題としている。
これまで、ドイツの哲学者カール・ヤスパースの思想を中心に、科学的思考と理性の思考、情報化と個的人間存在、「実存」と「コミュニケーション」、文化的差異の問題 等を研究テーマとしてきた。
・『ヤスパースの存在論-比較思想的研究-』
北樹出版 1996年3月[単著]
・『哲学へ―ヤスパースとともに―』
北樹出版 1996年5月[共著]
・『科学に学ぶ心の教育 第7巻』
日本図書センター 1999年9月[共編]
・『思考のレシピ』ディスカバー・トウェンティワン
2014年6月[単著]
・‘The Role of Reason in Scientific and Technological Age from the Perspective of Jaspers’ Philosophy’, in Karl Jaspers; Historic Actuality, ed. by Andreas Cesana / Gregory J. Walters, Koenighausen & Neumann, pp.161-170, 2008, Wuerzburg.
・’Existenz’ und ‘Kommunikation’ in der Erziehungsphilosophie von Karl Jaspers, in Jahrbuch der Öesterreichen Karl Jaspers Gesellschaft vol7/8, Studien Verlag, pp.61-70, 1995 Innsbruck.
・日本ヤスパース協会理事長
・International Association of Jaspers Societies理事
・比較思想学会理事
・実存思想協会理事 等を歴任。
教授 後藤 玲子Reiko Goto
一橋大学大学院経済学研究科理論経済学専攻博士課程修了 博士(経済学)
最初に物語を紹介しましょう。---4人の男が部屋の四隅で銃を構えて対峙しています。だれも自分からは銃を下すことができません。突如、部屋の真ん中に、傷ついた一羽の小鳥が落下してきました。びっくりして銃を下ろした4人は、自分たちが危機を脱したことを知りました。そして、そもそも銃を構える理由はなかったことに気づきました---。
私の研究テーマは、偶然性の認識にもとづく「公共的相互性」の論理と制度の構想です。ここでいう「傷ついた小鳥」の果たした役割を真剣に問うことで、政治的リベラリズムと資本主義的市場メカニズムを批判的に展開することを企てています。背景的学問は、哲学と数理を基盤とし、理論と実証を架橋する「規範経済学」(総合社会科学の一局面)です。
近年は、「ケイパビリティ・アプローチ」をもとに、個人の「動く(moving)自由」に関する実証研究を、計量経済学・脳神経科学・精神医学・市民工学教育工学の専門家らと進めています。協同研究のモットーは、「<異>を包み込みながらも<同>にはしない、全体性と階層性を回避する不思議な集まり」です。
先端総合研究機構は、帝京大学で働く人々が、相互の多様性こそを財産として、人類の直面する難問(アポリア)に果敢に挑戦するための拠点です。微力ながらも尽力いたします。
・Gotoh, R. :The Ethics and Economics of the Capability Approach, Springer, 2020年.
・後藤玲子『潜在能力アプローチ--倫理と経済--』岩波書店、2017年。
・後藤玲子『福祉の経済哲学』、ミネルヴァ書房、2015年。
・後藤玲子『正義の経済哲学:ロールズとセン』、東洋経済新報社、2002年。
・Gotoh, R. and Dumouchel, P (eds.), Against Injustice: The New Economics of Amartya Sen, Cambridge: Cambridge University Press, 2009年.
・アマルティア・セン・後藤玲子『福祉と正義』、東大出版会、2008年。
・塩野谷祐一・鈴村興太郎・後藤玲子編著『福祉の公共哲学』、東大出版会、2004年。
・鈴村興太郎・後藤玲子『アマルティア・セン:経済学と倫理学』、実教出版、2001年(2002改装新版)。
・後藤玲子監訳『功利主義をのりこえて―経済学と哲学の倫理―』、ミネルヴァ書房、2019年。
・後藤玲子・斉藤拓訳『ベーシック・インカムの哲学』、勁草書房、2009年。